プロがオススメ!恋したくなる映像作品3選FUTARI START GUIDE

最近、私の結婚相談所で40代の女性が3人立て続けに結婚しました。みなさん「素直な自分を出せる相手と出会えたから結婚を決めました」と語っていました。年齢やキャリアを重ねて、自分らしく、楽になれる恋愛を知ってほしいと思います。そこで今回は、登場人物が自分らしく生き、ハッピーな恋愛もする――そんな映像作品を3つ紹介します。私自身も大好きで何度も観なおしてきた作品たちです。

「ローマの休日」

1作目は1953年に公開された古い映画「ローマの休日」、恋愛映画の大定番。私はもう30回以上観ています。 アン王女(オードリー・ヘップバーン)はローマ滞在中に、疲労と不満から城を抜け出し、新聞記者のジョー(グレゴリー・ペック)に出会います。ジョーは王女の素性に気づきスクープにしようと企てますが、アンと行動を共にするうち次第に真剣な気持ちを抱くようになり……というストーリーです。

“王女との1日だけの恋”というとファンタジーのようですが、実は偶然とインスピレーションで出会い、自分の知らない世界を体験して相手を好きになっていくという普遍的な恋愛の楽しさを描いた作品です。生きている世界が違う二人が損得関係なく出会って燃えるような恋をするのは、恋愛の原点ですよね。
結婚相談所ではマッチングするために、自分の結婚観を条件や数字にしていく作業が非常に重要ですが、条件ばかりに囚われて凝り固まってしまい、お相手と向き合えない方も多いです。日常にもいろんな出会いがあるのですから、ぜひ原点に立ち戻って、視野を広げて感度を上げて、アンテナを張り巡らし、素直な気持ちでいっぱい恋愛して欲しいです。映画を観て、恋愛の原点を思い出すことで、一歩進める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もうひとつの見どころは、好奇心旺盛な王女様は、面白いことをたくさんします。市場を散策中に、お金を持っていなくて花屋さんのお花をもらおうとして失敗したり、女の子が美容室から出てきたのを見てロングヘアを前髪ぱっつんのショートカットにしてしまったり。その飾らない姿はとても魅力的! お高くとまることはなくて、中身は素朴。その人柄が人の心に響くのです。これは誰にでも当てはまることです。
また、オードリー・ヘップバーンのファッションが、可愛らしくて上品!風になびくフレアスカート、リボン使いのディテールが可憐で、婚活服のお手本にもなりますよ。

「ロングバケーション」

そして2作品目は、1996年に放送された “月9ドラマ”「ロングバケーション」です。31歳の落ち目モデル・葉山南(山口智子)は結婚式当日、婚約者に失踪されてしまい、元カレのルームメイトである24歳のピアニスト・瀬名秀俊(木村拓哉)と同居することになる……というストーリーです。女性が7歳年上のカップリングは珍しく、月曜の夜は街からOLが消える、と言われるほど、働く女性の支持を集めたドラマでした。

このドラマの第一話には、こんなセリフが出てきます。
「私、年下には1ミリも興味ないから、あなたを襲うなんてことないない」
「何でおれが、男に逃げられた30女と一緒に住まないといけないんだよ」
南と瀬名は、最初はお互い恋愛対象外だったのに、互いの恋愛を応援し、時に本音で語り合うことで、だんだん大切な存在になっていきます。
なんといっても、南の明るくて天真爛漫で、愛らしいキャラクターが魅力。瀬名が夢をあきらめようとすると苦手なピアノを練習して阻止したり、瀬名の恋愛を応援して激励したり。
一方、若かりし頃のキムタク瀬名が、南にズバッと物申すセリフも痛快。「無神経だから、男に捨てられるんだよ。ガサツだから人の気持ちがわからないんだよ」「結婚して人に幸せにしてもらおうなんて他力本願やめたら?」など、本音で向き合っているからこその鋭い言葉にはハッとさせられるはず。

大人になると異性の友達付き合いが少なくなっていきますが、生きづらい社会、ひとりぼっちになりやすい時代だからこそ、誰かと一緒に悩んで、一緒に生きてちょっと甘えてみてほしいと思います。
「恋愛の控え室」のようにつながっておくと、相手のいいところを発見でき、いずれ恋愛に発展するかもしれません。あるタイミングでお互いの心がグッと近づいたら、恋愛や結婚へクロージングしたっていい。恋愛の種まきをしておかなければ、芽も出てきません。これから恋愛をしたいみなさんも、ちょっと気になる相手とまずは人間同士として信頼関係を築いていただきたいです。
婚約者に失踪される1話と対比になる最終話のシーンは、結婚したい!という気持ちを盛り上げてくれるはずですよ。

「糸」

3作目は、2020年に公開された映画「糸」です。主演の菅田将暉さんと小松菜奈さんが結婚されたニュースを受けてコラムを執筆することになり、この作品を拝見しました。
13歳の高橋漣(菅田将暉)は、園田葵(小松菜奈)に一目ぼれし、互いに惹かれていきます。しかし、葵は家庭内暴力を受けていて、夜逃げ同然で姿を消してしまいます。事情を知った漣は、葵を探し出し逃避行を試みますが、失敗し、大人たちに引きはがされてしまうことに。その後、21歳になったふたりは同級生の結婚式で再会。漣は2度目の告白をしますが、「漣君に会えて良かった」と言い残して去る葵。お互いに忘れられないまま、それぞれのパートナーと新しい道を歩み出したふたりですが、またもや偶然の再会を果たし……というあらすじになっています。

この映画は、一途な想いと絆の深さをテーマに描かれていると感じます。
みなさんも、好きな人と転校や進学で別れてしまったり、自然消滅してしまったり、告白できなかったり、そんな心に残る恋があると思います。もし、今も心に残っている人がいれば、同窓会はチャンスかもしれませんし、最近はSNSで近況がわかる場合もありますから、久しぶりに連絡をとってみてもいいでしょう。再会してお付き合いすることになったケースは実際にあります。

私は、結婚しない人が増えている背景のひとつに、人への無関心、無干渉があると思っています。この映画は、自転車で転んだ漣と、虐待の傷を負った葵がお互いを「大丈夫?」と気遣うところから始まります。困っている人や傷ついた人を気にかけることから、人の縁はつながり、恋愛も始まっていくものです。
終わった恋だと思っている恋も、実はお休みしているだけの恋かもしれません。心に残る恋がある人は、今も気になるその人に「元気?」と気軽に連絡してみてもいいのではないでしょうか。別の人生を歩んでもまた運命の人に巡り合う、戻ってくることもあるものです。恋の経験値を積み、人間力を上げていきましょう。

気取らず、構えずに相手と向き合う

結婚相談所で成婚する人たちを見ても、自分の思いや今考えていること、この一瞬に何を感じているかを全部言えるようになると、相手とも向き合えるようになり結婚につながっていきます。自己主張をはっきりする人は、いくつになってもモテるし、パートナーもできるし、結婚もできます。
一方で、仕事では意見を言えるのに、恋愛となると意見を言えない方が非常に多いです。恋愛経験がない人は「こんなこと気になる相手に言っていいのですか?」と聞いてくることもあります。「これ言ったら嫌われるかな、こんなこと言ったらおかしいかな」とひとりで考えてカラに閉じこもっていると、何を考えているかわからないから、相手も声をかけづらく、何も起こらないのです。

時には悩みを打ち明けたり、聞いたり、些細な日常や感情を誰かと共有して支えあって生きていく。他愛のないことで笑いあうことで気持ちがスッと楽になることもあります。誰かと一緒に生きていく人生も、良いものですよ。

植草美幸

植草美幸(うえくさみゆき)/株式会社エムエスピー代表取締役/東京・青山の結婚相談所マリーミー代表

1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、 株式会社エムエスピーを創業。そこで培われたコーディネート力と実績を活かし、2009 年、結婚相談所マリーミーをスタート。
以後13年にわたり年間約2,000組の恋愛アドバイスを行い、業界平均 15%と言われる成婚率において、 約 80%の高い成婚率(※)を誇る。 「自分を知ること」「自分の市場価値を知ること」「相手の心理を知ること」の 3 つを軸に行うアドバイスには定評があり、地方自治体からも恋愛・婚活の 専門家として講演依頼を多数受けている他、報道番組などでも密着されている。
(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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