いつまでも
恋人同士のようなふたりTOKYO FUTARI

沢田博之さん(37歳)(仮名) 綾乃さん(37歳)(仮名)

仕事帰りは駅で待ち合わせて一緒に帰宅

 結婚9年目を迎えた公務員の博之さんと会社員の綾乃さん。ふたりは、今でも仕事が終わると連絡を取り合い、自宅の最寄り駅のホームで待ち合わせています。落ち合えたら、手をつないで一緒に帰るという日々を続けてきました。
 駅からふたりの自宅までは、歩いてほんの5分ぐらいの距離。それでも、歩きながらその日にあったことを報告し合うのが、ふたりの大切な時間なのだそうです。
 「ちょっぴり嫌なことがあった日でも、夫に話せばスッキリできる。家に着くころには、忘れてリラックスできます」(綾乃さん)
 長い結婚生活を経ても、恋人同士のように待ち合わせを続ける理由について、綾乃さんはこう話します。
 「結婚すると待ち合わせる機会が少なくなってしまうものですが、待ち合わせするにはその前に連絡を取り合って都合を合わせたりするので、相手のことを想う時間が増える。そういうところも気に入っていて、待つのは苦にならないんです。夫の残業が長引きそうなときは先に帰りますけど、やっぱりちょっと寂しいです」

恋人同士のような関係でいられる秘訣は?

 博之さんは結婚後のふたりの関係の変化についてこう振り返ります。
 「結婚前のように次に会える日を指折り数えたり、メールの返信をそわそわしながら待つような『ドキドキ感』はなくなりましたが、違う種類の愛情が芽生えているような気がします。『大切にしたい』という気持ちが強くなったような感じです」
 ほかにも、会社帰りにふたりで外食をしたり、休日は互いにおしゃれをして出かけるなど、結婚前のようなデートをすることも心掛けているのだそうです。「ちょっと格好つけたり、いいところを見せたいという気分になる」と博之さんは言います。
 そうはいっても、ふたりはいつも一緒、というわけではありません。一人で過ごしたり、それぞれの友人と過ごす休日も大切にしています。
 「外出先で偶然彼女が好きそうなものを見かけたとき、『これを買っていったら喜ぶかな?』と考えると、帰るのがちょっぴり楽しみになるんです」(博之さん)
 外では手をつないで歩くのがすっかり習慣になっているので、博之さんは実母を街に連れ出した時に、いつものクセでつい手をつなぎそうになって焦ってしまったこともあるのだとか。

結婚に「我慢」なんて必要なかった

 「結婚生活には我慢が必要だと思っていた」という博之さん。でも、実際にふたりで暮らしてみると、思いのほか自然体で過ごせることに驚いているそうです。綾乃さんも「一緒にいるときが一番リラックスできる」といいます。生活におけるすべての価値観が一致するわけではありませんが、けんかになることもほとんどないのだとか。
 「意見が異なる際にも、感情的に衝突したり、価値観の押し付け合いになったりすることはありません。何か特別な工夫をしてきたわけではなく、相手を思いやる日々の積み重ねにより築いてきたお互いへの信頼感の結果です。そもそも、せっかくの夫婦の時間をムッとして過ごすのはもったいない。2人でいられる時間は限られているので、大切にしようと話し合っています」 (博之さん)
 ふたりの共通の趣味は、日本酒です。休日には一緒に酒蔵を訪ねたり、旅行先も地酒のおいしいエリアを選んでいます。珍しいお酒を手に入れた時には、酒好きな仲間を招いて自宅でホームパーティーを開くことも。
 中でも一番の楽しみは、仕事を終えて一緒に帰宅した後の晩酌。夫婦の時間の中で最も幸せを感じ、リラックスできる時間だとふたりは声を揃えます。
 人生100年時代と言われます。この先年齢を重ねても、一緒に晩酌を楽しみ、自然に手をつないで歩くおじいちゃんとおばあちゃんでいることが、ふたりの夢なのだそうです。

ふたりのQ&A

Q
出会いは?
A
高校時代のクラスメイトだったが、当時は特に互いを意識したことはなかった。
Q
初デートは?
A
社会人になってから、通勤途中に偶然再会したのがきっかけで食事に行った。
Q
結婚への道のりは?
A
夫がなにげなく見ていた新年のテレビ番組の占いで「今年は恋人と離れる危険あり」と出たのを見て、「絶対嫌だ」という気持ちが湧き、プロポーズに踏み切った。
Q
家族構成は?
A
夫28歳、妻28歳で結婚。夫婦ふたりぐらし。
Q
家計と家事の分担は?
A
料理は妻、食器洗いや洗濯は夫がやることが多いが、その時にできるほうが担う。主に夫の収入を生活費に充て、妻の収入はなるべく貯蓄している。
Q
休日の過ごし方・よく行く場所は?
A
東京は美術館が多い街で、ふたりで美術館や展覧会に行くのがお気に入り。妻は特に土偶に目がなく、土偶展があるときは必ず足を運ぶ。

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