○原田曜平氏×独身男女トークセッション
「婚活時代の若者の本音…不満、不安、そして希望」
<モデレーター>
原田曜平さん
<独身男女>(以下、仮名)
中野さん(男性 30歳) 会社員
・いずれ結婚したいが今は自由でありたい。
藤原さん(男性 37歳) 団体職員
・地方在住。婚活中。生き方のズレで相手が見つからない。
滝本さん(女性 27歳) 教員
・地方在住。地域で婚活するも、デートで顔見知りが多く引いてしまう。
鈴木さん(女性 27歳) 会社員
・結婚するための婚活はしない。いい相手に出会った時に結婚したい。
■将来結婚したいと思うか
まずはお一人ずつ、ご自身の結婚観についてお話しいただきました。
・中野さん
結婚したいという気持ちはあるが、結婚することで自分の時間が取れなくなってしまうのは辛い。今は一人で楽しめる環境が整っており、もし人とのつながりが欲しければオンラインで日本全国の人とつながることができるので、無理してまで異性を求める必要性は感じていない。そのため、次に恋愛をするのは、相手からのアプローチがあった時になるだろう。
・藤原さん
一日の終わりにその日あった小さな出来事を共有できるような人が欲しい、という気持ちから積極的にパートナー探しをしている。現在は、自治体の出会いサポートセンターに登録して、活動している。
・滝本さん
正規雇用が決まって心の余裕ができてきたため、現在は、結婚したいという気持ちを持ち始めたところ。周囲が結婚し始めたことも結婚を意識するきっかけになった。良い出会いがあればと、自治体主催の街コンに参加したこともあり、最近はマッチングアプリを利用している。
・鈴木さん
一人での生活が充実しており不足はないため、婚活してまで結婚したいというほど強い気持ちはない。「この人と結婚したい!」と思える人に出会えたら結婚する。周りの友人にも一人で生きていけると話す人は多い。
■なぜ恋愛や結婚がしづらくなっているのか?
結婚や恋愛がしづらい理由について、様々な意見がありました。
① 本人の意識によるもの
- ・一人でいても、SNSを通じていつでも友人と繋がることができるので、孤独感を感じることが無い。
- ・「個性を大事に、みんな違ってみんないい」という教育をずっと受けてきて、自分を大切にして生きてきた。パートナーを幸せにしたい、という気持ちよりも自分を幸せにしてくれる、自分を高めてくれるパートナーを求める人が増えているのかもしれない。
- ・自己責任と言われ続け、結局社会は助けてくれないのだから、自分を守るためには自分を高めなくてはと、自己投資に労力とお金を費やす人が多い。皆、自分を守ることに必死なので、家族や社会といったチームのために、という意識になりづらい。
- ・自分のことで精いっぱいなのに、相手のことや子供のことを思ってというたくさんのタスクを自分にこなせるのか不安に思う。しっかりやらなきゃと思うと、簡単には結婚できない。
② 経済的な理由
- ・自分だけの収入では家族を支えるには不十分であり、共働きをしてくれる人でないと生計を立てるのは難しいと考えている。自分は、働きながら家事をすることも苦にならないし、自分が誰かの支えになれれば嬉しいと考えているが、これまで出会った方は専業主婦を希望していたため、結婚まで至らなかった。
- ・将来の経済状況に大きな不安がある。今の自分ひとりの生活でも余裕があるわけではないのに、結婚、特に子育てに関してはさらなる経済的な負担を感じる。ニュースでも、子供ひとりが大学を卒業するまでの養育費に2,000万円、老後に2,000万円必要と言われ、経済的なリスクは尽きない。結婚は、共働きで世帯収入を上げ、将来の安定を手に入れるというような一つの生存戦略。一人で生活するのに十分な収入があれば、一人でいたっていいと思う。
③ その他の意見
- ・既婚者が語る結婚生活の話は、否定的なものが多いため、結婚に対して良いイメージを持つのは難しい。悪いイメージを発信して不安をあおっておきながら、結婚しろって言われても…。
- ・結婚して一人前という昔ながらの考え方が残る地域なので、結婚すると急に地区の役員などの責任を負わされて大変だ、という既婚の友人も多い。
- ・教員という職業柄、どこに行くにも人目が気になってしまう。地方に住んでいるため行ける場所は限られており、人目を避けるには遠出するしかない。毎回、遠出する時間的余裕はないし、誰かと交際に至りデートするとなっても、そこからのハードルも高い。
■婚活サービスの課題
これまで婚活サービスを利用されたことがある方に、その課題について伺いました。
- ・地域の街コンは、毎回同じ人しかいないので、何度も参加しようという気にはならない。地元開催のものではなく、あえて近隣の大きい都市の街コンに行ったこともある。
- ・自治体の出会いサポートセンターは、料金が安いことは評価できるが、相手探しにセンターまで行かなければならないと結局利用できない。オンラインでのサービスを提供してほしい。
- ・サポートセンターで相手を選ぶ条件の一覧を見てしまうと、年齢・収入・身長など、内面と関係ない部分が並んでいるので、自分を値踏みされている気になってしまう。良いと思う人がいても、登録されている条件を見ると、自分では無理だなと声をかける前からあきらめてしまう。
一方、マッチングアプリに対しては、どなたも抵抗感がなく、出会いの幅が広がると好印象を持たれているようです。マッチングアプリで実際にお相手を見つけ、現在交際中という方もいました。
■行政に対して求める支援
最後に、行政に求められる支援について、様々なアイデアをいただきました。
- ・単に出会いの機会を増やすだけでなく、異性に対する接し方についてもサポートしてほしい。素敵な人と出会っても、どんなことを話したら良いか、どうアプローチしたら良いかわからない人も多く、結局ダメになってしまう。それを避けるために、スキルアップのサポートをしてはどうか。
- ・結婚の魅力をもっと発信すべき。日本は恥の文化があるため、パートナーの良い所は言わずに、悪い部分ばかりを話す既婚者が大半。これでは、結婚の悪い部分ばかりが強調され、結婚したいという気持ちがあっても躊躇してしまう。結婚自体に意味があるのかと真剣に考える時代だからこそ、結婚したその先にある魅力を伝える必要があるのでは。そうすれば、結婚を希望しつつも躊躇っていたり、一歩踏み出すきっかけが欲しいと思う人の後押しにつながる。
- ・相手の内面がわかるような仕組みがあったらいい。婚活をしていると、まず初めに趣味や仕事など基本的な情報のやりとりから始まるが、このやりとりだけで疲れてしまい、その先に進まないこともしばしば。本当に知りたいのは、その人がどんな生き方をしていて、どんな考えを持っているか、自分との共通点はあるかなど、条件ではない内面的な部分。良い所だけじゃなく、悪い所も知り、お互いに受け止め合える、そんな人との出会いがあれば結婚に意欲的になれる。
○東京都の結婚支援施策の紹介
東京都生活文化局都民生活部都民活躍支援担当課長 田中 正之
開催自治体である東京都から、都の結婚支援の考え方やこれまでの取組、そして今年度の主な取組について、報告しました。
東京都の50歳時未婚率は全国的に見て高く推移する一方、18~34歳の都内の未婚者の8割近くが「いずれ結婚するつもり」と回答しています(平成30年度 都民の結婚等に関する実態及び意識についてのインターネット調査)。こうした状況を踏まえ、都では、結婚を希望しながらも一歩踏み出せない方を後押しするため結婚に向けた気運の醸成に取り組んでいます。
都の結婚支援の取組には2つの柱があり、1つ目は「営利目的ではない立場からの情報提供」、そして2つ目は「婚活に踏み出せない人へのきっかけ作り」です。都内には多くの民間事業者が存在し様々なサービスを提供しています。そんな中、都が担うのは、結婚を希望しながらもなかなか行動に移せていない方が、最初の一歩を踏み出すための情報提供やきっかけ作りです。
ご紹介したこれまでの主な取組は、以下の通りです。
(情報提供)
- ・結婚支援ポータルサイト“TOKYOふたりSTORY”(平成30年11月22日開設)
結婚や婚活に関する総合的な情報発信
- ・結婚応援イベント“TOKYO FUTARI DAYS”(平成31年2月開催)
人生や結婚について考えてみたい方やこれから婚活を始めようと考えている方向けのセミナーの開催、婚活スキルアップ・レッスンや婚活個別相談などの各種体験コンテンツの提供
(きっかけ作り)
- ・東京都庁内の各局や、都内区市町村、他県、非営利法人、民間事業者など、多様な主体との連携による出会いの機会の提供
今年度の主な取組として、次の4つをご紹介しました。
- ・“TOKYOふたり100 Stories”~いろんな夫婦、集まれ~
結婚を希望する人にとって自分らしい結婚や婚活のヒントとなる夫婦のエピソードを募集。応募作品から、東京の多様な夫婦を表す100作品を選定し、エピソードをもとに作成した夫婦のイラストとともにポータルサイト等で紹介
- ・東京都オリジナル婚姻届
都内のランドマークをイラストにして再現した東京の街並みに、“TOKYOふたり100 Stories”で100作品に選ばれたご夫婦のイラストを数組描き足すことで完成させる、都民と一緒に作り上げる婚姻届
- ・ライフデザイン構築支援
若い世代が、これからの人生やライフプランについて考える機会を提供するため、ライフデザインセミナーと家庭訪問型プログラムを実施
- ・結婚応援イベント
令和2(2020)年2月22日(土)に二子玉川ライズにて、結婚や婚活に関心を持つ方だけでなく、親世代を含めた多くの方が気軽に参加でき、結婚に向けた気運醸成につながるイベントを開催
最後に、東京都も、全国の自治体と連携しながら結婚支援に取り組んでいきたいとし、今回の全国結婚支援セミナーの東京開催を、日本全体で結婚支援を推進するきっかけにしたいと話しました。
○次回開催県(茨城県)からのメッセージ
茨城県保健福祉部子ども政策局少子化対策課長 滝 睦美
次回開催自治体の茨城県からもメッセージを頂戴しました。
滝課長は、茨城県は人口減少問題への対策として結婚支援事業に先駆的に取り組んできたとし、平成18年に全国初の県レベルの出会いサポートセンターを開設し、300人余りのマリッジサポーターの活動とあわせて、設置12年目の平成30年10月には成婚2,000組を達成したと説明されました。一方で、茨城県の出生数は平成30年に初めて2万人を切り、また、50歳時未婚率も年々上昇するなど、歯止めがかからない少子化に触れ、こうした課題の解決のため、若い世代のニーズに即した新しい結婚支援のあり方として、結婚をポジティブに捉えてもらい、早いうちから婚活に取り組んでもらえるような新たな仕組みを検討しているとのことでした。
その他、昨年度開始した新婚カップルと結婚予定カップルへの結婚応援パスポート“iPASS”についても紹介され、社会全体で結婚する方たちへの応援に取り組んでいるとのことです。
「全国結婚支援セミナーinいばらき」
日時:令和2年10月18日(日)及び19日(月)
会場:ホテルレイクビュー水戸(茨城県水戸市宮町1丁目6-1)