家庭訪問型プログラム
レポート

家庭訪問型プログラムは、結婚、出産・子育てなどのライフイベントを具体的にイメージし、これからのライフプランを考える際のヒントにしてもらうため、受け入れ家庭を訪問し、ご家庭の1日を体験するプログラムです。都内の大学等で計10回実施したライフデザイン・セミナーの参加者の中から希望者を対象にオンラインで実施しました。

今回、大学3年生の佐藤さん(仮名)が、1歳5ヶ月のお子さんのいる、中村さん(仮名)のお宅にオンライン訪問した様子をレポートします。
佐藤さんは東京都ライフデザイン・セミナーに参加したことがきっかけで家族の在り方や個人の多様な生き方をもっと知りたいと思い、家庭訪問型プログラムへの参加を決めてくださいました。
プログラム参加前に佐藤さんは「両親は共働きではなかったため、共働きをしている家族の現状や葛藤を知る機会が身近にありませんでした。ですので、家庭訪問型プログラムでは、家族の在り方に対する考えを深め、多様な生き方に触れると同時に、そういった共働きの家族の方と実際にお話してみたいと思っています。」と話していました。

受け入れていただいたご家庭

東京都在住の中村さんご家族は、ご夫婦と1歳5か月のお子さん1人の3人暮らし。夫は昨年、通算半年ほどの育児休業を取得。監査法人で働いた後、転職し、現在は商社で勤務。妻は税理士法人でコンサルタントとして勤務。現在は育児休業中で今後復職予定。

当日の様子・流れ

9:00
佐藤さんと中村さんご家族がそれぞれ自宅からZOOMで接続し、オンライン家庭訪問型プログラムがスタートしました。自己紹介をした後に、お互いに近況を共有しました。

9:10
お子さんがおやつを食べる様子や家の中で遊ぶ様子を中継していただきながら、職場で育休をスムーズにとるためのアドバイス、パートナーとの協力した子育てについてお話を伺いました。
お話の中では、初めての子育てを2人で協力して開始するために使用したという“産後ケアセンター”というサービスについて教えてくださいました。当時のことについて中村さんは「産後、子育て生活を心身ともにサポートしてくれる施設に家族3人で1週間ほど滞在しました。助産師さんがいたので分からないことは気軽に相談できたり、少し身体を休めたい時は子供を預けたりできて、子育ての慣らしにすごくよかった。」と話してくださいました。

10:00
お子さんとお父さんは散歩をしながら近くのパン屋さんまで昼食を買いに出かけました。お子さんの様子を時折ZOOMで中継してもらいながら、自宅に残ったお母さんは佐藤さんと引き続き仕事、結婚、子育てについて話しました。
中村さんが結婚前に同棲していたというお話を聞いて佐藤さんは「同棲時の価値観の違いによる喧嘩はどのように乗り越えたのか?」という質問をしました。それに対し中村さんは「妥協点を探ること。結婚して、暮らし始めてからお互いに譲れない部分が出てきたら一緒に暮らせなくなってしまう。だから同棲の時点ですれちがいがあったら、その度にどっちの考え方・やり方を取り入れるのがいいか話し合って乗り越えていた。」と同棲時のアドバイスをお話してくださいました。

お散歩中継の様子

11:20
中村さんご家族は昼食の時間になりました。お父さんは「普段から子供の行動時間に合わせて家族みんなで動いています。昼食をとるには少し時間が早いですが妻と私も子供と一緒に食事をとるようにしています。」と普段の食事の様子を見せてくださいました。

昼食の様子

12:00
プログラム終了。

結婚前の同棲生活が結婚後のライフスタイルの基盤に

中村さん夫妻は、結婚前に同棲生活を経験したことでお互いの考え方の違いをすりあわせることが出来てよかったと話します。「私たちの場合は、家事のやり方、生活におけるお互いの当たり前が違ったので、結婚前に同棲して、お互いの価値観をすりあわせることにしました。同棲は結婚生活のお試し期間として経験してよかったと感じています。」と教えてくださいました。
また、今では「家事は完璧を目指さず、必要最低ラインでいい。」とお互いに考えていると話し、「なるべく自動化出来るところは自動化して、ロボット掃除機や乾燥機など、機械に任せることでストレスをためずに家族みんなが幸せでいられています。」と結婚生活の工夫をお話してくださいました。

子育ては職場やパートナーと協力して“事前準備”することが大切

将来、出産して育休をとりたいと考えているが、スムーズにとれなかったり働きにくくなったりするのではないかと思うと不安だという佐藤さんに対して、中村さんは「初めから取得するのは難しいと決めつけずに、まずは上司や周囲に話してみることが大事。早くから伝えてみることで状況は少しずつ変わっていく。実際に私も妻が妊娠する前から1年弱かけて育休の取り方について上司と相談を重ねてスムーズに育休を取得し、職場に復帰をすることができた。」と教えてくださいました。
また、将来は夫婦どちらもバリバリ働きたいという思いから、出産前から子育てのやり方についても話し合いを重ねていたと話します。「夫婦両方とも育児ができないとゆくゆくはお互いが自由に動けないことに繋がってしまう。また、片方だけが家事や子育てをやってしまうともう片方がやらなくなってしまう。だから最初から2人で試行錯誤して子育てすることを大切にしようと決めていました。」と子育ての工夫を教えてくださいました。

プログラム中の様子

佐藤さん(参加者)の感想

今回の家庭訪問型プログラムを通して、結婚・出産に関してとても前向きな気持ちになれました。私は将来、仕事をバリバリやっていきたいと思いつつも、今の日本社会では結婚や出産がその妨げになってしまうことへの不安や葛藤があり、悲観的になっていました。しかし、今回、中村さんご夫妻にお話を聞く中で仕事と育児の両立の問題は、パートナーとしっかり話し合い、事前に職場に相談して理解してもらうことで解決できると知ることが出来ました。

中村さん(受け入れ家庭)の感想

肌で感じることがやや難しいオンラインでの実施でしたが、生活の様子や考え方など少しでも伝わったようで良かったです。せっかくのご縁ですし、落ち着いた頃に直接子どもにも触れ合ってもらいたいなと思っていますので、引き続き繋がっていければ嬉しいです。

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